バナナで若返る、その理由は。

内科医に聞く!バナナの“若返り”効果 松生クリニック 院長 松生恒夫 先生

整腸作用があって、それによって免疫力を高めたり、肌のコンディションを良くしたりすることが期待でき、さらに肌に好ましいビタミンB群を含むバナナは、“若返り”をサポートすることも期待されます。 しかしながらこれまでそれを実証するデータはありませんでした。そこで、 2013年4月~6月にかけ、「肌の衰えを感じている」と回答した女性に4週間バナナを食べ続けていただき、肌の変化を検査。本当にバナナで肌が若返るのか、検証してみました。

この実験の結果、肌の水分値・油分値・弾力などの改善効果を確認することができました。バナナを食べることで腸内環境が整い、皮膚によい影響が出たと考えられます。 皮膚と腸の状態は密接に関連していますので、バナナを食べたことで腸内環境が改善されたといえるでしょう。実験に参加した方がつけていた日誌を見ると、バナナを食べた後、体重増加もなく、質の良い排便習慣になっていたことが確認できました。参加者によっては、「お腹のハリがとれた」という結果も出ています。

腸によい成分や美容ビタミンなどを豊富に含むバナナ

歳をとると腸の弾力性が落ちて便秘がちとなって、腸内のビフィズス菌の数も減っていきます。バナナは善玉菌を増やす食物繊維とフラクトオリゴ糖を両方含み、整腸作用のある難消化性でんぷんも含まれています。胃への負担も少ないのでお薦めです。また、バナナには、抗酸化作用が期待されるポリフェノールや美容ビタミンと呼ばれるビタミンB群が豊富に含まれていますので、美容にも最適なフルーツといえます。

バナナの主な栄養成分

バナナ1本(100g 86kcal)あたりの含有量
ビタミンB6=0.38mg ビタミンB2=0.04mg ビタミンB1=0.05mg ナイアシン=0.7mg
葉酸=26㎍ パントテン酸=0.44mg ビタミンC=16mg

エネルギー値(kcal)は、日本食品標準成分表 2015年版(七訂)によります。

整腸作用

食物繊維類による整腸効果で腸内が健康的になると、老廃物が排出され代謝も活発化。肌荒れや吹き出物が改善されます。

ポリフェノール

活性酸素は肌の細胞を傷つけ、シミやシワの原因になります。ポリフェノールの強い抗酸化作用により、肌の老化を遅らせます。

バナナの主な栄養成分

水溶性の各種ビタミン類であるビタミンB群(B1、B2、B6、ナイアシンなど)は、紫外線でダメージを受けた組織の修復に補酵素成分として必須の栄養成分です。皮膚の抵抗力を強める効果も期待できます。

☆バナナにはビタミンB群が多く、野菜・果物中でトップクラスです。B6は1本(100g)で1日必要量の20%を摂取できます。

■ビタミンB1 :神経のビタミン。

■ビタミンB2 :皮膚の新陳代謝と血液循環が高まりますが、不足すると皮膚の毛細血管が拡張し充血を引き起こします。

■ナイアシン(ニコチン酸アミド/ビタミンB3) :欠乏すると皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状が生じます。

■ビタミンB6 :欠乏すると脂漏性皮膚炎(女性に多い荒れ)、口角炎、手足のしびれ、脂肪の代謝が低下します。

バナナは“若返り”に効果的な食べ物

今は夏でも空調で温度が下がり、皮膚が乾燥しがちです。室温と外気温が10度以上違う場所では腸に不調をきたしやすくなります。バナナは、常に過酷な状況にさらされる皮膚と腸を、豊富な食物繊維とビタミンで、カラダの内側からキレイにしてくれる、“若返り”にとても効果的な食べ物といえましょう。自然のサプリメントといってもよいでしょう。また、皮膚によいといえば、すぐに女性をイメージするかもしれませんが、今は、紫外線を浴びて男性も皮膚がガサガサの人がたくさんいます。専門的にいうと、それは皮膚の光老化という状態です。そういう意味では、男性女性を問わず、若いうちからバナナを食生活にとり入れることは意味があります。

「美味しく食べてキレイになる」のが理想的

なぜ腸内環境をよくしてあげると皮膚もよくなるのかは、まだブラックボックスでよくわかっていませんが、結果として効果が期待できるということですから、やはり、毎日、適切な食事をとることはとても重要です。特に、自然の食べ物でよくなったということに意味があります。「美味しく食べてキレイになる」ということが理想的だからです。バナナは、子供のときからみんなが食べるフルーツです。栄養価が高く、しかも、季節に限定されることなく、1年中手に入り気軽に食べることができる点も大きなポイントです。そうでないと、いくらよいことでも毎日実践するのは難しいですからね。

松生クリニック
院長・医学博士 松生恒夫 先生

≪プロフィール≫
1955年東京都生まれ。80年東京慈恵会医科大学を卒業。83年同大学第三病院内科助手、94年松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2004年松生クリニックを開業。腸のスペシャリストとしてメディアでも活躍中で、自らのクリニックに便秘外来を設け、地中海式食生活や漢方療法なども診療に取り入れ効果をあげている。医学博士、日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。『腸内リセット健康法』(講談社+α新書)、『40歳からの腸内改造』(筑摩書房)、『いつもスッキリ!快腸美人』(永岡書店)など腸に関する著書多数。