バナナのスギ花粉症予防効果(研究紹介)
花粉症と研究の概要
花粉症は、1970年代から徐々に増加し、現在、日本人の約1/3が花粉症に罹患していると言われ、増加の一途をたどっています。花粉症治療のための医薬品は、すでに発現した症状を和らげるだけの対症的なものが大部分で、特に、頻用される抗ヒスタミン剤などは、集中力の低下や眠気などの副作用が強いため、日常生活の中では服用しにくいのが現状です。
そこで、2010年、東京理科大学薬学部臨床薬理学教室の谷中昭典教授(現筑波大学医学医療系教授)は、日常的な食品の摂取により花粉症を緩和させるアプローチから、バナナの機能性として報告されている抗酸化作用や、免疫活性化作用などに着目し、バナナの摂食による花粉症の予防効果について検討を行いました。
その結果、スギ花粉症を発症させたマウスにバナナを毎日食べさせると、生体内の白血球数が増えること、花粉症アレルギーの指標である、好酸球数の増加を抑制する効果があることがわかりました。このことから、バナナの摂食が、スギ花粉によるアレルギー反応の抑制に関与していることが示唆されました。
この検討結果を踏まえて、谷中教授は、2013年1月~3月、筑波大学附属病院、及びその関連施設において、バナナ摂食によるスギ花粉症予防効果がヒトにおいても認められるかどうか臨床試験を行いました。